数理計画の応用

数理計画の応用

 数理計画法の応用と一言でいっても,数が多すぎてここでまとめることは不可能です.応用研究は,具体的な現象が見え,問題が限定されているため,理論研究にくらべて,とっつきやすく簡単だと思われています.しかし,本当に実務で使われる研究成果をあげることは,理論研究よりも難しいと考えたほうがいいでしょう.実際,私も下記のような研究をしましたが,実際に使われているとは聞いたことがありません.(聞かないだけで使ってくれていたらうれしいのですが.) 難しい原因は,ユーザは,既存のものにくらべて数段よくないと,これまで使っていたものを捨ててまで新しい手法を使おうとしないからだと思います.そして数段よいものを作るには,理論(数理計画)と応用問題の2つの深い知識が必要になります.つまり,理論だけの研究に比べて,応用問題固有の知識が必要になるぶん,実は,たくさんのことを勉強しなければいけません.さらに応用問題はきれいな形をしていないため,臨機応変にいろいろな手法を組み合わせる必要があります.理論の研究では,非線形計画問題とか整数計画問題というように,問題を分類して,その特性を利用した理論を構築しています.しかし,実際の問題はそのような分類に含まれないことが普通です.下記に示した火力発電のスケジューリング問題は,非線形関数を目的関数にもつ組合せ最適化問題です.この解法として,組合せ最適化の手法である動的計画法,ラグランジュ緩和法,局所探索法と非線形計画問題の解法である準ニュートン法を組み合わせた手法を提案し,既存の手法より(数段ではありませんが)よい結果を得ました.どちらかの知識だけでは,よい結果が得られたなかったと思います.
 このように実は大変な応用研究ですが,実際に使われれば(社会貢献できれば),その喜びは理論研究以上だと思います.また,一攫千金の可能性も秘めていると思いますので,チャレンジする価値は大いにあると思います.

私としては,ある特定の応用問題に限定して取り組んでいるわけではなく,学生の興味,企業や他の研究者から依頼などに応じて,いくつかの応用問題を研究しました.これからも,そのような形で取り組んでいくつもりです.以下には具体的なイメージがもてるよう,これまでに行った応用研究を列挙します.



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< Last update: April 8, 2008>