滝根 哲哉(たきね てつや)


My Picture  京都大学大学院 情報学研究科 数理工学専攻
 システム数理講座 最適化数理分野 助教授

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連絡先

経歴

研究内容

研究業績




平成13年6月に岩波講座インターネット 第5巻「ネットワーク 設計理論」が出版されました (2章、3章の正誤表)。


以下は、平成16年度3回生配当科目「確率離散事象論」の参考資料(53ページ) です。受講する学生は持参して下さい。


以下は、奈良先端科学技術大学院大学15年度「数理科学概論1」ならびに 「計画数学通論」の参考資料(72ページ)です。 受講する学生は持参して下さい(03.11.19 改訂)。




連絡先

  〒606-8501 京都市左京区吉田本町
  京都大学 大学院情報学研究科 数理工学専攻

  工学部 8 号館 2 階 204 号室 ( 大学周辺・構内地図本部構内地図


  電話075-753-4758
  FAX075-753-4756
  E-mailtakine at amp.i.kyoto-u.ac.jp


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経歴等


   昭和36年11月  京都市生まれ                    

学歴

   昭和55年3月  大阪教育大学教育学部附属高校池田校舎卒業
   昭和55年4月  京都大学 工学部 数理工学科入学
   昭和59年3月  同上卒業
   昭和59年4月  京都大学大学院工学研究科修士課程数理工学専攻入学
   昭和61年3月  同上修了(修士論文
   昭和61年4月  京都大学大学院工学研究科博士後期課程数理工学専攻進学
   平成元年3月  同上修了(工学博士)                     

職歴

   平成元年4月  京都大学工学部数理工学科助手
   平成3年11月  カリフォルニア大学アーバイン校 計算機科学科訪問研究員(平成4年10月まで)
   平成6年4月  大阪大学 工学部 情報システム工学科講師
   平成6年12月  大阪大学工学部情報システム工学科助教授
   平成10年4月  京都大学大学院工学研究科数理工学専攻助教授
   平成10年4月  京都大学大学院 情報学研究科 数理工学専攻 助教授に配置換、
現在に至る                     

所属学会

  日本オペレーションズ・リサーチ学会 待ち行列研究部会
   電子情報通信学会
   情報処理学会
   システム制御情報学会
   IEEE ( Communications Society)

学外活動

   平成11年5月  日本オペレーションズ・リサーチ学会 関西支部運営委員(平成17年4月まで)
平成15年1月  The Fifth International Workshop on Matrix Analytic Methods (MAM5),
Cortona, Italy, June 20-25, 2005, the Scientific Advisory Committee Member. (平成17年7月まで)
   平成15年5月  日本オペレーションズ・リサーチ学会 研究普及委員会委員(研究担当)(平成17年4月まで)
平成16年2月  Operations Research Letters, Area Editor of Stochastic Networks and Queues. (平成18年3月まで)
平成16年4月  The Third International Workshop on QoS in Multiservice IP Networks (QoS-IP 2005),
Catania, Italy, February 2-4, 2005, the Technical Program Committee Member. (平成17年2月まで)

受賞歴

   平成9年4月  第25回 日本オペレーションズ・リサーチ学会文献賞受賞
   平成14年4月  日本オペレーションズ・リサーチ学会フェロー
   平成15年3月  第18回 (財)電気通信普及財団テレコムシステム技術賞受賞
   平成16年5月  電子情報通信学会論文賞受賞

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研究内容


「待ち行列理論」と「計算機通信網のモデル化と性能評価」


I.主な研究と特長

   通信網に見られるように、共有の資源(通信回線、交換機等)を多数の 利用者、端末、計算機等が利用する場合、資源競合が起こります。一般に、資 源利用要求の発生や個々の要求が資源を占有する時間はあらかじめスケジュー ルされたものではありません。それゆえ、資源利用要求の発生時に、要求した 資源が他の利用者によって占有されている場合、その資源の利用をあきらめる か、あるいは、その資源が解放されるまで待つことになります。

 このような、資源要求の発生や占有時間に不確実さを含んでいるシステ ムにおいて、多くの利用者が満足できるサービス品質を提供するためには、こ れらの不確実さを考慮した量的な性能評価に基づくシステム設計ならびに運用 を行う必要があります。待ち行列理論(Queueing Theory)は、資源利用要求 の発生や資源占有時間が確率的であるという仮定の下で資源競合問題を扱う数 学的理論であり、特に通信網への応用を意図している場合は通信トラヒック理 論と呼ばれます。

 待ち行列理論は共有の資源(サーバ)と資源利用要求(客)が待つため のバッファ(容量0も含む)からなるシステムを対象としています。客のシス テムへの到着(資源利用要求の発生)ならびにサービス時間(客の資源占有時 間)は様々な確率過程/分布を用いて記述されます。すなわち、待ち行列シス テムは、到着間隔分布、サービス時間分布、共有資源の数、バッファ容量及び スケジューリング方式(客のサービス順序やサービス開始時期を定める規則) を規定することにより記述できることになります。興味ある性能評価指標は客 の待ち時間分布やシステム内客数分布、さらにバッファが有限である場合には 呼損率(バッファに空きがなく、資源利用要求が失われる確率)などがありま す。

 86年から92年頃まで、巡回サービス型多重待ち行列システムに関する研 究を行ってきました。このシステムは多数の待ち行列をサーバが順次訪れ、待っ ている客をサービスするものであり、ローカルエリアネットワークにおけるトー クンパッシング方式やFDDI方式の性能評価を行うための基本モデルです。また、 この種のシステムでは、一つの待ち行列に注目した場合、サーバが他の待ち行 列をサービスしている時間や、待ち行列間のサービスを切替えている時間は、 注目している待ち行列から見るとサーバが休暇を取っている(サービス要求が 待っているにも関わらず、サービスされない)と見なすことができます。これ らのモデルに対して、20編以上の論文を発表しています。

 ATMに代表される高速通信網では送信メッセージの発生に強い相関性が見 られます。そこで、93年頃から現在に至るまで、客の到着過程に相関のある待 ち行列システムに関する研究を進めてきました。特に、あらゆる定常な到着過 程を任意の精度で近似できるマルコフ到着過程(MAP)を到着過程とする待ち 行列システムのアルゴリズム的解法の一般化を目指してきました。これは、各 種の性能評価指標を計算するための数値的に安定したアルゴリズムを構築する ものです。中でも、到着過程に相関がある優先権付き待ち行列システムについ ての研究、ならびに、従来、解析が極めて困難と考えられてきた異なるサービ ス時間分布をもつ複数の到着流を収容するFIFO 待ち行列システムに関する 研究を進めてきており、これらの分野においても30編以上の論文を発表し ています。

 また、これらと並行して、様々な計算機通信網の性能評価についても、 外部の研究者との共同研究を通じて、多くの論文を発表してきました。以上に 関する研究発表の詳細は「研究業績」を御覧下さい。

II.今後の展開

   今後は、待ち行列理論はもちろんのこと、最適化手法や制御理論といっ た、従来の待ち行列理論とは異なる分野の技法を取り込んだ、新しいシステム の設計、評価法の開発にも取り組んでいきたいと思っています。

 当面の研究課題は以下の通りです。

  • 現在まで、計算機や通信の分野における応用を意図して、数多くの待ち行列モ デルが提案され、その解析が行われてきました。しかし、大規模問題に対する 数値計算が困難なモデルが数多くあります。これらのモデルに対して、大規模 問題に対しても実際に計算可能な新しい解析結果の提示ならびに数値計算アル ゴリズムを開発します。

  • 一般に、単一サーバ待ち行列モデルは M/G/1 型あるいは G/M/1 型と呼ばれる 構造化されたマルコフ連鎖で定式化できます。このような構造化されたマルコ フ連鎖に特有の数理的構造の解明ならびに効率的な数値計算アルゴリズムの開 発を行います。

  • インターネットで観測される通信トラヒックは、従来の電話網やデータ網には 見られたかった長期依存性あるいは自己相似性といった(非常に変動が大きく、 かつ、時間軸に沿った相関も長期間継続する)性質があることが知られていま す。実際のネットワーク上で観測されたトラヒックデータの解析や統計処理を 通じて、この種のトラヒックの数学的モデル化手法及びこれらを入力とする待 ち行列システムの解析手法の開発を行うと共に、トラヒック測定に基づく トラヒック制御手法の開発を行います。

  • 確率モデルに対する計算機シミュレーションは簡便な性能評価手法として広く 利用されていますが、希少事象(例えば10-8程度の呼損率)の評 価は一般に困難です。このような問題を解決するため、確率モデルの数理構造 から得られる結果とシミュレーションの加速手法を組み合わせた、希少事象評 価手法の開発を行います。

  • 高速通信網は、網内の資源を有効利用するため、呼受付制御、トラヒック制御、 経路選択制御など様々な制御を組み合わせて運用されます。これら、高速通信 網における、より効率的な制御手法の提案とその評価を待ち行列モデルに基づ き行います。

     待ち行列理論は、計算機や通信網の発達と共に、様々な新しいシステム に対する性能評価手法ならびに解析結果を要求されてきており、今後ともその 重要性は変わらないと信じています。しかしながら、これらのシステムが高度 化の一途を辿るにつれて、そこで要求される理論もまた一層高度なものとなっ てきています。このため、待ち行列理論から得られる様々な知見を、待ち行列 理論を専門としない関連分野の研究者へ如何にして提供していくかということ が大きな課題となっていますので、その方策も合わせて検討していきたいと思っ ています。

III.研究業績

   海外学術誌、国際会議録を中心に 100 編以上の論文を発表しています。 主な発表先(学術誌)は以下の通りです。 詳細はこちらを御覧下さい。

  • 待ち行列理論
    • Queueing Systems
    • Stochastic Models
    • Operations Research
    • Operations Research Letter
    • Journal of the Operations Research Society of Japan
    • Advances in Applied Probability
    • Journal of Applied Probability
    • Advances in Performance Analysis
    • Performance Evaluation
  • 通信ネットワークの性能評価
    • IEEE/ACM Transactions on Networking
    • IEEE Transactions on Communications
    • IEEE Journal on Selected Areas in Communications
    • IEEE Communications Magazine
    • Performance Evaluation
    • International Journal of Communication Systems
    • IEICE Transactions on Communications


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問い合わせ先: takine at amp.i.kyoto-u.ac.jp